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活動報告

空き家問題解決で「街再興」のチャンスに

23.07.28

会派「自民党ネクスト島根」での初の県外視察。今回は岡山での林業振興や滋賀県の観光振興、さらに岐阜での空き家対策について調査をしてきました。すべて書ききれないでの岐阜の空き家対策について報告したいと思います。空き家については全国的に課題となっており、住宅・土地統計調査(総務省)によれば、空き家の全国総数は849万戸あり、この20年で1.5倍に増加しています。島根県においても、空き家の数は48,300戸あり、住宅総数314,200戸の15%以上となるなど、まさに人口減少、高齢化の象徴的課題となっています。

空き家イメージ

今回視察した岐阜県郡上市(人口約4万人)の郡上八幡地区でも、平成25年調査で空き家が350軒あり、毎年10軒程度の空き家が発生している状態でした。この地区の一部は重要伝統的建造物群保存地区に指定され、風情ある街並みが広がっていましたが、空き家の増加により、地域住民は頭を抱える状態だったのです。

担当者などから取り組みの経緯などを説明

専門空き家チームが動き出す

そんな中、空き家専門チーム「チームまちや」が平成27年に結成され、動き出します。この組織は行政ではなく、地元の産業振興公社の一部として組織され、空き家所有者と行政の中間的組織として結成されました。なぜなら、行政は「街づくりや事務局的なことはどちらかというと苦手な分野」であり、都会地などにいる所有者も「空き家活用ができたらいいけど家の片付けが大変だし、手続きなどが面倒くさそう」というそれぞれの課題を解決したり、仲立ちしたりする存在が必要だったからです。具体的には、空き家となっている所有者にコンタクトをとり、建物の寄附、賃貸として貸しだしてくれないか交渉。そのかわり、所有者が煩わしいと思っている家財処分費用、火災保険費用、固定資産税などを受け持ちます。もちろん新たに入居する人からの賃料回収も担います。それらを「チームまちや」が負担していては事業が成り立ちませんので、その負担費用を行政が支援しています。行政としても空き家活用で人口が増えれば、税収が増えるため、いわば投資の一環といえます。こうした取り組みが功を奏し、空き家減少率も下がり、今、若い人たちが空き家に移住し始めています。

観光の街として再興へ

人口減少の影響で、かつてあった日用品屋など商店はどんどん姿を消していきました。空き家問題も重なり、危機感をもって空き家活用を進めていく中で、若い人たちがどんどん入ってくるようになったんです。恐らく伝統的な街並みが気に入ったのでしょう。そこで皆さんどんどん飲食店やインテリア店などを開業し、今では観光が大きな産業の街となりつつあります。(チームまちや担当者)

かつての町役場もホールなどでリユースされている

そう話してくれたのは、チームまちやの武藤隆晴さん。チームまちやが空き家について所有者に寄り添い、活用してもらえるよう仲立ち。そのための支援を行政からサポートしてもらい、全体的な街のプロデュースを進めていく。結果として若者が次々と移住や起業を行い、観光地としてリスタートする姿がありました。郡上は伝統的な建築が多く、街としての魅力がそもそも高いというアドバンテージはあったかもしれません。しかし、空き家問題について行政と所有者の架け橋的な存在が必要であることは、日本全国普遍的なテーマかもしれません。私も島根県内の各市町村の取り組みを勉強し直し、市町村にどんなプレーヤーが必要なのか、また県としてどんな支援ができるのか、さらに調査を進めていきたいと思います。

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